web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想151話】~残り21%の甘さ~
151:なりましょうか?
カカオ79%【あらすじ】
キャンプファイヤーの会場で、一人体育座りをしたまま下を向く翼に委員長は声をかけた。
「綾野さん…!」
翼は顔を上げた。
「委員長……あれ?メガネないのに見えてる?」
「実は一度帰宅してコンタクトに…それより一ノ瀬君は…!」
委員長の問いに翼は無理矢理笑って、答える。
「えーと教室で着替えてる…はず」
その頃勇は、教室でジュリエットから制服に着替え終わって、窓の外をみていた。
***
委員長が翼に頭を下げた。
「っ本当に…!申し訳ありませんでした!!」
翼は立ち上がって驚いて恐縮する。
「え?!ちょちょちょ委員長…!頭上げてよ、何をそんなに謝ることは…」
委員長は頭を下げたまま言う。
「私めのせいで一ノ瀬くんと天童さんがあんな目に…」
キャンプファイヤーの炎が燃えている。翼が言う。
「いや、まああれは事故だしね?仕方ないと言うか~委員長は皆のためにがんばっただけじゃない、客の反応とか結構よかったのよ?ほら見てよ、おかげで今こうやって皆残りの文化祭も楽しめるようになったし、劇の前にはこの世の終わりみたいな顔ばかりしていたのにね、私も含めて」
翼は周りを見渡しながら言う。クラスメイト達が楽しそうにそれぞれ話をしていた。
「メイク落とすのもったいないな~と思ったよ」
「これでうちのクラスが絶対一位だって」
「一ノ瀬くんのおかげだな」
「でも…!」
翼の言葉に、委員長は言った。翼は少しだけ寂しそうな、やせ我慢の顔をして話を続ける。
「…そうね、正直何ともないと言うと嘘になるわな、でも今は別のことで落ち込んでると言うか、ほら…明日まで勇のやつずっとリナ先輩と一緒じゃないといけないんだから、でも劇の時も今もぶてぶてと嫌だよとは言えないから……私勇の彼女なわけでもないしーだから気にしないでよ」
その言葉を聞いた委員長は、お辞儀をしたまま顔だけ前を向いた。
「まだ誰かの機嫌を伺っているんですか?」
翼は委員長のそのポーズと言葉に驚く。そして、翼の脳裏に浮かんだのは、愛ちゃんの顔だった。私一ノ瀬くんのこと好きなんだ、と言った愛ちゃん。
「え?いやそんな…いや伺うよ、クラスの皆の気持ちとか」
翼は委員長から目をそらして答えた。
「嫌なら嫌だと言ってしまえばいい…!」
と委員長。
「そんな無茶な!今までのみんなの頑張りが無駄になっちゃうよ?!てか勇の頑張り」
翼は思い出していた。モブ男の言葉。
「俺はそうやって自分らの恋に酔って周りに大迷惑なバカの話は嫌いでね」
それから、愛ちゃんと勇と翼の3人で過ごした日々。翼は思っていた。
「ずっと3人ならいいのに」
そして思い出す。写生大会での愛ちゃんと勇のキス。
怪我をして愛ちゃんを失って、勇にずっと友達でいてと言った日。
高校生になって、勇が、手を繋げずに自分から離れて行ったときのこと。
委員長は、翼の言葉を聞いて、ゆっくりと翼に話した。
「そんなことどうでもいいから、他の人と二人でいないで欲しい、本当はそうは思わないんですか?」
翼は無心で答えた。
「…思う。このぐらいしたら十分でしょう。二人がいい、いい加減二人でいさせてよと思うよ」
誰かが(愛ちゃん)誰か(勇)を好きだなんてもう関係ない
私が…
勇のことを…
それを聞いた委員長は、両手を口元にあててときめく。
「OH」
「NO」
翼は慌てて否定した。
「いやいやいやいや思うけど!思うけども…!思うだけだから!勇にリナ先輩のとこ行かないで~なんて言えないし!言わないし!分かってる?!358フラワーだよ?あんた委員長のくせになにたぶらかしてんのよ」
委員長は、翼の背中を押した。言葉でも、物理的にも。
「そこはわたくしめが何とかしますから一ノ瀬くんのところへ行って下さい…!」
翼は驚く。
「押さないで~、何とかって何を?!」
そこへリナ先輩が、委員長に声をかけた。
「ねーまだぁ?一ノ瀬くんいつ降りてくんの~?」
「はい!今迎えに行きますんで!」
とリナ先輩に答えた委員長が、翼に言う。
「行ってください」
「へ?私が…?!」
委員長が言う。
「ここへ連れて戻るかそれとも止めるかはもうあなた次第です」
「いやいやいや」
「信じて下さい!必ず…何とかします…!このぐらいのお詫びはさせてください」
翼は委員長を見た。
「わ、わかったよ!行ってくるから、勇のやつ呼んでくればいいよね?」
翼は走って行った。
委員長は、さてと、といいながら反対に向き直った。後ろには不機嫌なリナ先輩がいた。
「いつまで待たないといけないの」
と腰に手を当てるリナ先輩を見て委員長は震えた。生徒会の魔女、だ。
「あ、あの…!」
委員長は、別のクラスメイトに震えながら声をかけた。
***
静まり返った校舎で、勇は制服に着替えて、机の上に座っていた。苛立ちからか、スマホを指でトントンしていた。
翼のやつ
怒って…たのか?
競売で手を上げた翼の顔を勇は歩もい出していた。
……彼女はいないと言ったから…?だよな?
ダメだ、どうもこんなポジティブな方の考えには自信がつかない
こうなって欲しいとずっとおもっていたことがいざなると
「本当にいいのか?」ってブレーキがかかる
ブレーキの原因は知ってるし
そしてこれが解決できていないのがまたブレーキになっちゃって…
勇はスマホの画面を見ていた。誰かにかける直前の画面になっていた。と、そこに突然、勇の手の中でスマホが震えた。画面には「橘」と出ている。
「もしもし橘?どうした?電話なんかして」
勇は電話に出る。
「一ノ瀬、皆で海行った時俺に特別な人はいないかと聞いて、不要だと答えたの覚えてる?」
勇は真顔になった。
「ああ、覚えてるよ」
「俺さ、テニス一筋で行きたいから恋愛とかやらないつもりだったんだ。そして確実にその覚悟ができたのは綾野さんの隣に一ノ瀬がいると知ったからだけど、今日みたいな感じだと迷いが出ちゃうかも」
電話をしている橘くんの目が光る。
「橘お前やっぱ…!」
勇が焦った声を出した。構わず橘君は話しを続ける。
「だから頼むよ、俺の覚悟揺らがさないでね、そうじゃないと、いけなくなっちゃったから」
校舎の外で校舎の中にいる勇に電話をしている橘くんのすぐ後ろを、勇を迎えに行く翼が通って行った。呼んでくるだけ、とブツブツ言いながら、周りは見えていなくて、何も聞こえていない様子で校舎へと入って行った。橘君は、翼の様子を目で追うと、話しを続ける。
「僕の初恋の人を、あんまり泣かさないでね」
迷い
疑い
不安
焦り
躊躇
今までの悩みが何だったのよと
思うぐらいに一瞬気持ちがマックスになる瞬間
やっと人は勇気を出して本音を言うことが出来るのかもしれない
電話を切った勇は思う。
…橘、やっぱり今も翼のこと…
そう思って勇がスマホを見つめていたその時、教室のドアがガラッと開いた。振り返ると、翼がいた。
それが
今…
なりましょうか?
…彼女、彼氏、に、なりましょうか?
To Be Continued
カカオ79%【感想】
タイトルが、4つ前からつないであってオシャレですね。
148:彼女
149:彼氏
150:に
151:なりましょうか?
カカオ79%のタイトルは、たまにこういう続きのタイトルがあって、なんて続くの?とか、そう来たか、という気持ちになります。前回の「に」の時点で、だいぶドキドキしていました。
このシリーズだと、117:雨降って、118:地固まれ(お願い頼む)は、地固まる、と予想していましたが、そう簡単にはいかず。でも、一生懸命さは現れているタイトルでよかったですし。94:問い、95:解い、96~98:答え合わせ、99:正解とかも、96からの答え合わせと来た時点で、いつ正解が来るの???とドギマギしていました。
基本的に先読みしているのですが、タイトルを見た時点で、読む前のテンションがMAXになってしまいますよね。
閑話休題、今回の感想です。ジュリエットからやっと着替えた制服姿の勇が久しぶりで、かっこよくて、ドキドキしています。そしてネクタイしていますね。
委員長、コンタクトをつけて再登場、にもかかわらず、素顔は見えず。次回あたり、お披露目してくれないかな、と願っています。何やら、何とかすると動いてくれるみたいですし。でも、リナ先輩ではない人に声かけていましたよね?どうするつもりやら・・・いつもどこか空回り気味の委員長ですが、期待しています。
それから、橘君は結局天童さんになんていったのでしょうか。勇との会話で察するに、特別な人は不要だと宣言したのかな、と思います。天童さんが傷つくと分かってはいたが、何かを伝えた、とここ最近の橘くんの表情から予想します。それが、特別な人は不要、ということなのか、周りを巻き込むような行動をとった天童さんを叱ったのか、分かりませんが、天童さんが帰ってしまったことを考えると、失意の中なのでしょう。
そのあとで、橘くんは競売で翼のために行動して、勇の背中を押す電話をして・・・愛情が深すぎて、優しいの一言では片付けられないですね。
翼と勇、やっと会えました。今のところ、翼は呼んで来るだけ、と自分に暗示をかけていますが、橘くんの後押しを受けた勇がどのように振舞うのでしょう。次回、二人は彼女、彼氏になれるのでしょうか。。。
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