『カカオ79%』141:メガネロミオとジュリエット、そして…【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想141話】~残り21%の甘さ~

141:メガネロミオとジュリエット、そして…

カカオ79%【あらすじ】

劇が始まる15分前。天童さんは、舞台の袖に案内されていた。
「て、天童さん、こちらへ…」

袖にいた周囲の人たちは、遠巻きに小声で話していた。
「え、マジで天童…?!」
「ど、どうすんだよ」

そんな中、案内しているB組のクラスメイトが、近くの人に声をかける。
「おい、誰か村人の役…!衣装貸してよ!」
「え?今から脱げって?」
「と、とにかくロミオっぽくして…」
と言いながら、案内をしているクラスメイトは天童さんに声をかける。
「す、すみません少しお待ちくださいませ…」
「なんで敬語…」
天童さんはぼそっと言った。

突然、舞台袖の端で横になっていた委員長が、大きな声を出して起き上がる。
「ロ!ミ!オエェェェェ」
周りにいた人達がびっくりする。
「委員長?!」
「大丈夫?!もう少し横になってよ!」
しかし、委員長はふらつきながらも立ち上がろうとする。
「劇…ロミオ…出ないと…」
「その体調では無理だって…!」
さすがに周りのクラスメイトは制止する。しかし、委員長は言う。
「自分の役割すらちゃんと出来ないくせに人の世話なんか申し出て…そのせいで綾野さんが悪く言われてんのに、こんなとこでグータラしてるわけにはいきません…!!誰かメガネを!メガネ…を…」
そう言いながら、委員長は顔を上げる。
目の前には、メガネをかけた天童さんが跪いていた。

***

劇中、ロミオの登場シーンで出て来たのは…。
「メガネのロミオです」
モブ男のナレーションと共に、顔色の悪いロミオ役の委員長が、全身黒タイツにメガネをかけたメガネをかけた、メガネ役の天童さんに支えられて出て来た。

その姿に観客たちは度肝を抜かれていた。教室へ戻ろうとしていた橘君も、振り返り驚く。リナ先輩は吹き出した。そして、蛍は、キャハハハと涙を流しながら笑った。

…終わりだ
舞台上のジュリエットの勇とパリス役の翼も、メガネとロミオに衝撃を受けている。

***

学校内では、文化祭実行委員のアリザワ先輩が奮闘していた。
「アリス!!会長発見!他校の女子に捕まってる!!」
トランシーバーから入ってくる情報に、アリザワ先輩はイライラしながら答える。
「何?!ふっざけんな、俺も混ぜろよ!!今行く!!あのサボリ魔が」
「本館2階前のフラワー交換所に人回して!」
トランシーバーには真面目な情報も入ってくる。後ろから、生徒会の誰かがアリザワ先輩に声をかけた。
「アリス先輩!今度はリナ先輩が行方不明です!」
「はぁ?!」
アリザワ先輩は汗だくだ。
「あーちょい待って、今体育館の公演、何組のだっけ、あいつもしかして…」

***

一方体育館は、そのまま劇が進行していた。
「暇を持て余し、敵役キャピュレット家の舞踏会に忍び込んだロミオは、なんと!!美しいジュリエットと出会い、お互い一目惚れしちゃうのです!」
表情が固まり、白目の勇のジュリエットと、委員長のロミオと天童さんのメガネは見つめ合った。が、委員長は、気分が悪く、耐え切れずウェーと餌付いてしまう。天童さんが無表情で背中をポンポンしている。その光景を見ていた全員が、

メガネさんがロミオの介抱してる

と思っていた。

モブ男がナレーションでフォローを入れた。
「おーっと、ロミオは二日酔いで苦しんでるようで」
「何言ってんの、未成年だよ」
小声で注意が入り、もう一度ボブ男がフォローを入れた。
「あ、未成年の飲酒は法律で禁じられてますんで☆」

勇は、目の前のメガネとロミオを見ながら、真剣に考えていた。

これのどこを見て一目惚れすればいいんだよ

つーかロミオどっち?

どっちがロミオ?

どっちもロミオ?

やっぱあれ、ただのメガネ?

モブ男のナレーションが続く。
「二人は舞踏会の中でお互いだけを目で追いながら、気持ちを高めていたのです」

あれは誰でも目で追っちゃうよなぁ…

と、客席も舞台上もみんな思っていた。

「そして舞踏会が終わっても、2人はお互いのことばかりを考える夜でした!」

モブ男のナレーション中に、一度、幕が下がり、勇は舞台袖に捌けた。そして髪型を変える。勇は小声で
「おいあのまま行くの?」
と聞くが、誰も答えない。
「ジュリエット、髪型チェンジ…!」
「ウィッグちゃんと抑えて」
「一ノ瀬君ちょっと伏せて…」
「背景!早く運べ!」
舞台袖はバタバタしていた。

「そして乳母に、彼がモンターギュー家のロミオだと聞いたジュリエットは苦しみます」
モブ男のナレーションと共に、再度幕が開き、バルコニーのセットが出現する。
「ああ、ロミオ、どうしてあなたはロミオなの」
スポットライトを浴びたジュリエットは、髪の毛を下ろしていた。客席から、女子たちの、キャアアアという悲鳴に近い歓声が上がった。

「おおジュリエット…君に許嫁がいたなんて…!僕にこれ以上の試練を与えないでほしい…!」
裸眼の委員長のロミオは、バルコニーを背にして、セリフを言いながら、反対側に腕を伸ばした。
「そっちじゃなくてこっち」
天童さんは、くるっと委員長を、バルコニーが正面になる正しい向きに回転させた。勇はバルコニーの上で両手を合わせながら、その様子を見ていた。

メガネとロミオになってる

しかもメガネさん、役に忠実だ

「何と!ジュリエットのつぶやきを性懲りも無くまたキャピュレット家に忍び込んでいたメガネのロミオが聞いていました。この人は前世、忍者かなんかだったんでしょうかー」
モブ男の実況風ナレーションは、どこまでがセリフでどこまでがアドリブかわからない。

そしてもうすぐパリスの出番だ。袖にいた翼は、うおおおおあああ、とものすごく感動していた。

天童さんが…あの天童さんが誰かをフォローしてる…!!

「恋をしてはいけない二人…でもお互いの心を確認した二人は結婚を誓います」
とナレーション。
「僕の妻になってくェェェェ」
ロミオのセリフの途中で、委員長に異変が生じた。慌てて、ナレーションがフォローを入れる。
「おぉっと、さっきメガネさんにぐるっと回転させられたのが来たんでしょうか。相変わらず胃の中が穏やかじゃないロミオさんのようです」

最悪のプロポーズだ

「ところでこの夜…実はもう一人キャピュレット家に忍び込んでいた者がいました」
ナレーションが言い終わると、パリス役の翼が、スポットライトを浴びてセリフを言う。
「何と…!ジュリエットとロミオがあんな関係だったなんて…」

「ジュリエットの許嫁であり幼馴染のパリス伯爵です。なんなんでしょう、この人達は、不法侵入にもほどがあります!」
とナレーション。パリスのセリフも続く。
「でももし二人が結ばれたら、長い間続いていた両家の戦いを終わりにすることが出来るのかも…それに、ジュリエットのあんな顔…おれは見たこと見ないんだ…幸せになるんだ、ジュリエット!!」

勇が扮するジュリエットは、ものすごい顔で、ロミオを見ていた。

「自分もジュリエットに恋を抱いていながらも、ジュリエットの幸せのために諦めるつもりでいるパリス伯爵―!愛しい目でロミオを見ているジュリエットを見てその決心を固めます」
ナレーションは、勇の目が死んだ目になっているのに気が付き、フォローする。
「愛しい目です、ジュリエット、愛しい目で見つめてください」

ジュリエットが見つめるロミオは、メガネに背中をなでなでされていた。

舞台上は暗くなった。舞台上からは、シュッと音がした。
「そして夜が明け次の朝」
パッとライトがついた。
「パリス伯爵が二人の結婚を手伝うためにロミオを訪ねます。

そこにいたのは、翼が演じるパリスと、黒の全身タイツのうえからロミオの衣装を着た天童さんだった

ん?

と客席。

ん?

と舞台袖。

そして、舞台上の翼は表情に出ないように唇を噛んだ。委員長は完全にでーんと倒れてダウンしていた。

「おらロミオ」
そう言って天童さんは片手を上げた。

うさぎの着ぐるみをきた橘君が、クラスの人に先に休憩時間をいただくと連絡中だったが、思わず顔を上げた。

ナレーションのモブ男がテンションを上げて言う。
「の、乗っ取ったぁぁ!!ロミオ、メガネさんにその役を!何と!乗っ取られました!!相当具合悪そうだったからねーメガネさん思い切って本体を捨て、自らロミオと名乗り出ました!そしてあっという間に本体から上着までも乗っ取りあげたその瞬発力!このメガネ、ただのメガネじゃなかったー!!」

マジかよ

ただのメガネじゃないってことは登場の時から分かってた

客席では、天童さんの存在に気が付いた人たちが小声で話していた。
「てかあれ…天童雫じゃん」
「え、まさかと思ったけどマジで?」
「何でB組の出し物に…」
「知るかよ」

翼は、ロミオの天童さんに同様して、冷や汗と、目の焦点が合わずに、セリフがうまくしゃべれなくなってしまう
「りょ、両家のわへ、和平のため……け、けっこん…じゅり…ろみ…」
ナレーションがフォローしてくれる。
「パリス伯爵、ジュリエットの幸せのためとは言え、苦しい気持ちは隠せず声が震えています!」
いや、絶対メガネロミオのせいだよね、と誰もが思っていた。

ナレーションは続ける。
「メガネ…ロミオはパリスからの話をありがたく引き受けることにします!このメガネ、何もかも乗っ取る気だ!主人公の座もー!やっぱりただのメガネじゃなーい!」
ナレーションに合わせて、天童さんのロミオは、OK、と左手の親指を立てた。

蛍は客席で、お腹が痛くなるくらい笑っていた。

「さーこの後メガネロミオとジュリエット、そしてパリス伯爵はどうなるのか!!この劇ははたしてどうなるのか!!10分後2部が始まりまーす☆」
とナレーションが言ったところで、幕が閉じた。

客席の人たちは固まっていた。そしてそれぞれにいろんな感想を抱いていた。

…ヤベェな「メガネロミオとジュリエット、そして…」

すごいぞ…ここまででラブシーンなんかひとつもなかったぞ

2部…必ず見届けないといけない気がする

大丈夫なのか、これ

To Be  Continued

カカオ79%【感想】

予想はしていましたが、ほぼほぼコメディなロミジュリでしたね。前回の、勇の本気出してやる決意が、すでにどっかに行ってしまっていました。

委員長、ほんとにイイヤツです。翼を言い訳にしない、あくまで、自分の要領の悪さが問題だったと、認めてしまえる度量。最後は完全にダウンしてしまいましたが、かっこ悪いかっこのよさでした。

そして何より今回のMVPは天童さん。この状況に対して、全くの躊躇がないですね。何を考えているかはイマイチわかりませんが、橘君も釘付けですよ(笑)

カカオ79%【ネタバレ/伏線回収班】

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