『学級委員に、なりました。』episode9【あらすじ&感想】

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学級委員に、なりました。 学級委員に、なりました。
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web漫画/学級委員に、なりました。【第9話あらすじ&感想】~異業種交流会レポート~

 

学級委員に、なりました。【episode9】 を一言で

修也の学級委員スイッチ

学級委員に、なりました。【episode9】の あらすじ

「おかえり、修也」
キッチンで、修也のお母さんが修也に声をかけた。
「…帰ってたんだ、母さん」

お母さんの表情が、一瞬、強張った気がした。修也は、あ、今の言い方…と思う。

そこは

「ただいま」って、

言えば

よかったかな…

修也は、なんとなくお母さんに背中を向けて過ごす。

帰ったときに、誰かが家にいるのは、久しぶりのことで、とっさに、当たり前の言葉が出なかった。

お母さんは、キッチンのコンロのスイッチを、ピッと押した。
「ごめんねー、母さんこれからまた仕事行くけど、カレー作り置きしといたから」
そう言いながら、腕時計をはめている。修也は、何も言わずに、湯気が立つカレー鍋を一瞥した。
「今週もずっと遅くなると思うのよねー。カレーに飽きたら何か買って食べて!生活費はいつものところね」

修也は、お母さんに背を向け、冷蔵庫の方を向き、飲み物を手にしながらそれまでは黙って聞いていたが、口を開いた。
「…ていうか、仕事忙しいのに、俺のメシ作るためだけに、わざわざ帰ってこなくても大丈夫だよ?もう子供じゃないんだから、自分でてきとうにやっとくし、そのぶんの時間をさ、もっと彼氏の方に…」
「…修也!………あんたねー」
言いながら、お母さんは、修也の正面に回り込んだ。
「大人ぶってるけど、いくつになったってあんたは、私の子どもなんだからね!」
と言って、前から修也の胸のあたりを指さした。

「…母親らしいこと、何ひとつ出来てないダメ親だけどさ…せめてご飯くらい…作らせてよ」
「…でもさ、料理苦手な人が忙しいなか無理して、毎回カレーばっかり作りに帰ってこなくてもなーって…」

修也の家では、いままで、作り置きがなくなるころを見計らっては、お母さんが、新たなカレーをお母さんが作っていたのだ。

「…な、な…なによなによー!カレーが嫌なんだったらそう言いなさいよ!それならクリームシチューとか、ビーフシチューとか…っ」
「うん、ルー変えただけだよね、それ」
修也は、そういうことじゃない、と、しれっと言った。

どんなに忙しくても、カレーを作りに帰ってくる母への感謝の気持ちと

俺のために無理することないのに、という思いを

いざ、口に出してみれば

なぜか不平不満のようになってしまう不思議

***

「今の彼氏はさー、料理も家事も得意な人なんでしょ?けっこう長く続いてるみたいだし、母さんと合ってるんじゃない?もう一緒になれば?」
修也が、お母さんの方を向いて言った。
「…もし俺に遠慮してるんだったら、俺は…」
「………違うわよ」
お母さんが伏し目がちに答える。
結婚はもう、こりごりなだけ

***

仕事はバリバリこなすけど、家庭的なことは苦手な母。結婚後は仕事をやめて、家庭に入ってほしかった父とは、仕事のことでたびたび衝突していたそうで。

俺が

物心つく前に

ふたりは

離婚した

母さんは、幼い俺を抱えて、それでもメキメキ仕事をして。
「修也くーん、お迎え来たよー」
保育園の修也。呼ばれて、読んでいた絵本から顔を上げる。
「ごめんねー修也―、遅くなったー」
お母さんが両手を広げて、修也の前にしゃがんだ。

***

家に帰って、修也が寝る時間になった。ベッドに入る修也にお母さんが言う。
「修也、母さんやり残した仕事があるから、少しだけ会社に戻らないといけないの。ひとりで寝られる?」
「うん」
修也は頷く。携帯電話が鳴った。お母さんは修也から少し離れたところで電話に出た。会社からのようだ。大丈夫です、今戻ります、と話していた。

電話が終わると、修也が、お母さんを真っ直ぐに見て言った。
「…保育園が、俺のこと、ずっと預かってくれたらいいのにね」
「え?」
お母さんも修也の方を見た。
「そしたら母さんも俺のこと、迎えに来ないですむから、ずっと会社でお仕事していられるでしょ?」

それは、子どもなりに気を遣って出た言葉だったけれど

かなり親の心を

えぐってしまったにかもしれない

「ばかね、母さん、お迎えに行って修也の元気な顔見ないと、お仕事頑張れないんだから…」
そう言って、お母さんは、修也のことをギュッと抱きしめた。

***

修也は、作り置きされたカレーが入っている鍋を見つめた。

…そういうところは、まぁ

いまも変わらず

うまくできてないけど

修也が小さいころのことを思い出していると、お母さんは、がらりと話を変えた。
「ところで修也、学校の方はどうなの?新しいクラスになったでしょ?」
話しながらも、出かける準備をしている。
「あんた、成績は良いみたいだけど、授業サボりがちだって前の担任の先生からは注意されて………」

「もうサボれなくなった」
修也がきっぱりと言った。
「俺、学級委員だから」
お母さんは少し驚いた顔をする。
「…あんたが、意外ね…」

そして、鞄を肩にかけると、修也の胸をポンとたたいた。
「…じゃあ、頑張って!」

修也は、一度口を開き、一拍おいてから
「母さんもね、いってらっしゃい」
と言った。
「…いってきます」

いまのは、ちょっと素直に言えたんじゃない?

お母さんが行ったあとで、修也は考える。

「俺、学級委員だから」

そう口にしたら、なんか。

「…俺にもついてたのかも。学級委員スイッチ

修也は、美紅ちゃんのことを思う。帰り道、一生懸命話してくれるのが、可愛かった。

美紅ちゃんのことを

考えながら食べたカレーは

どこか

いつもと違う味がした

To Be Continued

あらすじの続きはこちら

『学級委員に、なりました。』episode10【あらすじ&感想】

前話はこちら→『学級委員に、なりました。』episode8【あらすじ&感想】

学級委員に、なりました。【episode9】の 感想

修也の今の家庭の状況と、幼少期のエピソードでした。学校での修也は、軽いけど、口下手ということはぜんぜんありませんでした。むしろ、美紅ちゃんのほうが不器用で、修也は、周りとコミュニケーションをうまくとれるタイプに映っていました。

でも、修也もうまく言葉にできない、というか、労わりや感謝の気持ちで発した言葉が、不平不満のようになってしまうもどかしさを感じていることに少し驚きました。読んでいる私としては、修也は十分、言葉にできてると思いましたが。きっと伝わってるとも思います。お母さんの恋愛に対しても、理解ある高校生の息子って、きっとなかなかいません!

幼いころに、何気なく口にしてしまった、「保育園がずっと預かってくれればいいのに」という言葉の、あの出来事で、きっと修也の中にも、苦手意識があったのでしょう。
でも、そういう修也だからこそ、人に優しいし、美紅ちゃんの気持ちもわかるのかな、と思いました。

修也にも学級委員スイッチあるみたいですね。美紅ちゃんにとても影響されてますね。

『学級委員に、なりました。』とは

WEB漫画アプリ「comico」にて2016年~連載。作者はノエノ。
学級委員になったふたりとその周囲の人たちの物語。

【登場人物の紹介はこちら】

『学級委員に、なりました。』【登場人物の紹介】

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